Saturday, September 15, 2012

「みんなでつくる九州案内」についての個人的なこと




物心ついてからの記憶のある初めての旅は、小学校1年生の夏休みにまだ幼稚園だった妹を連れて鹿児島から北九州に汽車で行った時のこと。当時(今も?)は鹿児島では電車といえば路面電車のこと。国鉄のことは汽車と呼んでいた。我が家は僕が物心着くころには毎年父親が運転する車で九州各県を旅行していたのだが、この時はなぜだか妹と二人で行って来いということになっていた。

目的地は当時小倉に住んでいたいとこの家。首から下げたパスには切符と一緒に親に途中停車駅を全部書いてもらったカードを入れてあった。乗り過ごさないように駅に停まるたびに一つ一つ数えながら、時々グズる妹をなだめなつつ緊張してじっと椅子に座っていたことを思い出す。

その時はあろうことか、台風か事故かで列車がかなりの長時間(感覚的な記憶では4〜5数時)間止まってしまい、メールはおろか携帯もなかった時代なので鹿児島と北九州で親と親戚は大騒ぎだったらしい。乗っていた僕としては、朝汽車に乗って暗くなる前に着くはずがどんどん窓の外が暗くなり心細さは感じていたものの妙にわくわくしていた。いつもは暗くなる前に帰ってこいと言われていたのに、この時は立派な大義名分もあったので逆に張り切っていたのかもしれない。小倉では駅で待っていた親戚が泣かんばかりに出迎えてくれてちょっと得をした気持ちにもなった。

そうしてたどり着いた北九州でとにかく鮮明に憶えているのは、いとこの家のすぐ近くにあった到津(いとうず)遊園。家の前にこんな立派な遊園地があるってなんて素敵なんだろうと羨ましかった。小倉は当時からヤンキーが多くて、いとこの家のマンションの駐車場にも水玉のセドリックとか竹槍のようなマフラーのクラウンが普通に停まっていて、それもまた鹿児島では見たことのない世界で面白かった。ほとんどディズニーのエレクトリカル・パレードを見ているような気分で眺めていた。


今、九州を改めて案内するイベントに携わっていて細かく九州各県のことを調べたり地図にまとめたりしている。今回は沖縄以外の、車で回れる各県の情報をそれぞれの県の友人が案内してくれるというしかけのイベントをまとめているのだが、各県の人から送られてくる個人的な目線で捉えられたお勧めのエピソードを読むのが楽しくてしょうがない。パーソナルなことをちょっとはずかしげに、でもすこし誇らしげにパブリックにする時、そのことばはとても親近感を持って響く。

彼らが送ってくれる地元の思い入れにあふれた短いコメントを読んでいるうちに、なぜだかそれとは無関係に、ほとんど忘れていた自分が子供の頃に家族で旅行していた時の思い出が誘発されてよみがえってきてなんとも言えず心地良い。

僕は本当はとても腰が重くて出不精なんだけれど、旅に出るモチベーションをこの展覧会が再び与えてくれたように思う。会期は9月19日から10月15日まで。福岡天神イムズで各県の友人が選りすぐった逸品や旅のプランの展示もあり。各県に暮らす友人からの情報は、Google+ローカルにもアップされていくのでそちらから繋がることもできます。

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